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フィーバードリーム

 年末から立て込んでいたのと、色々がひとまずひと段落した気の緩みからだろう。昨日起きたら若干ながら喉が痛い。
 これは風邪の引き始めだなとドリンク剤を買い込み、食べるもの食べて眠ったらば、案の定で夜半に熱が出た。でもって熱に浮かされて夢を見た。
 夢中で、俺は友人と議論をしている。議題は「自由自在の変身能力を身につけたらまず何に変身するか」だった。
 奴は「自分好みの美少女に決まってるだろう」と熱弁するのだが、俺は「絶対サメ。確実にサメ」と力説して譲らない。なんとも疲れる夢だった。
 ところで別に俺はサメにさしたる思い入れはない。ネタとして嫌いじゃないが、サメ映画への愛着もさしてない。まあメガロドンはロマンだと思うが、あれは恐竜なんかのでっかいもの好きの範疇であろう。だというのに一体どうして、夢の俺はあそこまでサメに固執したのであろうか。
 そしておそらくこの夢とは一切関係なく、発熱は一晩で治まった。まだちょっと喉がいがいがするが、他はもう問題がない。うむ、やはり最後に物を言うのは基礎体力であるな。
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滑り込みたい

 クリスマス連休とかいう鬼畜なチキン野郎を乗り越えたので、年末までまずひと段落。
 温かいものを腹に入れようと近所のラーメン屋に立ち寄ったらば長蛇の列だった。12/29で一時閉店なのに加え、本日はクリスマス限定ラーメンなるものをやっていたらしい。
 食べたい気持ちは強かったのだが、寝不足状態で寒空に並ぶのはちとキツい。諦めて帰宅して、夕食は味噌煮込みうどんにシフトした。
 近隣では一番好みの味のお店だったから、閉店前にどうにかもう一回はお邪魔したいところ。あと数日のうちで、上手く都合をつけて滑り込みたいものである。
 

ブチ切れる

 うちの台所の蛍光灯は、機器から垂れ下がった紐を引いてスイッチをオンオフするタイプである。
 さきほど晩飯を作ろうとその紐を引いたところ、明かりが点く代わりにぶちりという感触がしてこれが切れた。まだ熱っぽくて力加減を誤ったものであろうか。全体のおよそ4分の3程が俺の手に残り、あろう事か残りの25%は反動で蛍光灯の機器の中に巻き込まれてしまった。
「うおい」と呟いて、しばし呆然と立ち尽くした。
 だがこのままにはできない。放置していたら暗闇で食事の支度をせねばならなくなってしまう。それは困る。すごく困る。一、二度のことならまだ趣で済ませられなくもないが、毎度闇鍋とかやってられない。
 仕方がないのでドライバーを取り出して病み上がりの体に鞭を打ち、あちこち分解してどうにか紐を引っ張り出した。どうにか解決はしたものの、ものすごい徒労感である。
 こんなことで何気ない日々の大切さ、ありがたさを痛感したくはなかったぜ。

残念な効果

 非常に残念な事だが、悪口というのは効果がある。
 自分で「ここが欠点かな?」と感じてるところを刺されれば「やっぱり駄目なんだ」って確信に繋がってしまうし、特に気に留めてない部分でも「これは変だ」と権柄ずくな大声を出されれば「ひょっとしたらそうなのかも」と以後意識してしまうようになる。
 これらの最も悪い性質は、完全に間違っていない点にあるだろう。
 古くから理屈と膏薬は何にでもつくと言う。難癖つけるつもりなら、それこそなくて七癖あって四十八癖。文句なんぞどうとでも吐けるのだ。
 自分の事ならば「うっせーばーか、人様にイチャモンだけつけてマウンティングした気になってんじゃねーぞ、ばーかばーか」と遠吠えしたり、「やっべ、俺めっちゃ妬まれてんじゃん。メシウマ!」と叫んで遁走したりで済ます。僕ァ心が弱いからね。護心術は心得ているのだ。
「臭いものに蓋」は至言である。

 でも性根が真面目で善良な人ほど、どうでもいい相手の何でもない言葉に囚われて懊悩してしまうように見える。俺が「すげぇ!」と感嘆するような人たちがそうなるのは、とても勿体のない事だと思う。面の皮も心の皮も厚い言う側は、労力なぞまるで費やしてないだけに尚更だ。
 だからそういうのを言われて気にしてしまう方々は、ひとつ覚えておいて欲しい。でもって忘れないでいて欲しい。
 そうした悪口雑言は一を拡大して述べているだけで、他にある九のいい部分を意図的に無視している。そして取り沙汰された一も含めた十を好く人がいるのだって事を。

 SNSが台頭し、色んな人の色んな意見が容易に耳に届くようになっている昨今だが、しかし声が届くほど近い距離にいるからといって、関係性が近いわけではない。
 そこんとこを言う側のみならず聞く側も意識すべきじゃあなかろうか。
 つまらん一言で何時間も悩むくらいなら、きっぱりさっぱりブロックなりミュートなりしちまえばいいのだ。いちいち相手をしたり、わざわざ会話したりする必要なんてどこにも欠片もないんだよ。

 人間の自由な思想思考を禁じるなんて不可能だし論外だ。言論の封殺などどんな権力者にすら成し得なかった仕業だ。
 でもそれを承知の上で思う。
 俺の友人にそういう悪意をぶつける奴には、あらゆる行動がキートン山田の声でナレーションされる呪いをかけてやりたい。

下衆の勘繰り

 友人から電話があった。
 なんでも先日深夜、職務質問を喰らったのだそうである。

「日本vsポーランドを見てたんだけど、前半終わって喉渇いたんで、家出て近所の自販機に行ったのよ。で、ちゃりちゃり小銭投入してたら後ろから『ちょっといいですか』って言われてさ」

 聞けば友人宅の近辺で無人の車が燃える事件があったものらしい。
 偶発の事故とは到底思えず、警官は発火時刻前後で近隣を見回っていたのだという。

「サッカー見ててハーフタイムで抜け出してきたんですよ、っつー話して帰ってきたんだけど、やっぱ別れ際に訊かれたね。『試合どうですか? 得点どうなってます?』って」

 なので「0-0で折り返して、後半どうなるかって感じですね」って内容を細かく語ってやったぜと、微笑ましく結びかけたので言っておいた。

「いや君それ、本当にサッカー見てたか裏を取られたんぞ」
「マジかよ、日本の超警察優秀だな!」

 その後当然のように、お前は他人を疑い過ぎである、穿ち過ぎであると叱られた。
 いやしかし、話が面白く転がる方向につい働いてしまうのが想像力というものではあるまいか。
プロフィール

鵜狩

Author:鵜狩
鳴かぬなら 鳴くのにしよう 不如帰

 小説家になろうにて物語を書き撲っております。

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