ノーカラテ、ノーニンジャ

 近所の駅の近くに、空手のジムがある。
 駅からも入門生の募集の告知が見えるような立地で、そこにそういう施設があるのは俺も知っていた。だが先日、その駅で待ち合わせをした際、友人に袖を引かれた。
「お前、あの空手教室の秘密を知っているか」と。
 そうして連れて行かれたのはその建物の裏側、駅からは見えないダークサイドオブザムーンである。
 そちら側から見上げた当該の階の窓には、「忍者募集中」の張り紙がなされていた。
 カラテ。そしてニンジャ。
 このふたつの単語から導き出される答えはひとつ、ただひとつだけだ。
 我々は何も見ない素振りでその場を去った。
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はぐれ虫

 テーブルの上をてんとう虫が這っていた。
 黒を基調にオレンジの模様をしたヤツである。具体的な名前は知らぬ。
 こんな時期に活動しているのだなあ、と思った。確かこいつらは葉っぱの裏とか石の下とかに、集団でまとまって越冬するのではなかったか。
 はぐれものがどこからともなく入り込んできたものであろうか。
 普通なら摘んで外に放り出すところであるが、流石に今日それをしたら死ぬだろう。
 なんとなく後生が悪いので、うっかり潰さぬように場所を移して、そのまま這うに任せている。

指し示すもの

 久々に友人とカラオケに行った。掴みの最近の曲ラッシュから次第に懐旧ソングへと選曲は変遷し、やがて懐かしのグループを発掘されると皆がしばらくその曲歌い続けるような雰囲気に。
 そしてそんな流れで投入されたのがSIAM SHADである。
 直後のツッコミはが「1/3しか知らねぇよ!」だった。
 これがSIAM SHADEの全楽曲中の3分の1を意味するのか、はたまた(『1/3の純情な感情』だけを指し示すのかによって、音楽的知識の評価がわかれる発言であろう。

キレやすい

 年末を前に米の貯蔵が尽きかけたので、ちょっくら行って10kgのを購入してきた。そいつをトートバックにぶち込んだ帰途、バッグの持ち手が切れた。音を立ててぶちりと切れた。
 見れば二箇所の持ち手の四つある支点的縫い目のうち、左右それぞれ二つがダメになっている。つまり持ち手部分はどちらも弧を描かずに、だらりと垂れた直線の紐と化している。
 マジかよと残った部分同士を結び合わせて担ぎ直し、それからしばし行ったところで、またぶちり。
 俺の掌中にはかつて持ち手だった二本の紐ばかりが残り、米は路上に転がった。
 なんという切れやすさ。
 お前は現代の若者か。もしくはテリーマンの靴紐か。

別れ話

 休日を丸一日、別れ話に消費した。
 と言っても痴情の縺れではない。しつこい油汚れとの告別である。
 もう色々面倒くさくなって全裸にゴム手袋という、目撃されたら通報間違いなしな格好で、ガス台周りをピッカピカにしてくれたわ!
 その勢いで冷蔵庫やら洗濯機やら動かして、普段やらない箇所まで徹底清掃してしまった。疲れた。
 腰が重いのに凝り性だから、一度やり始めると徹底的にせねば気が済まないのだ。
 日々こつこつ済ませておけってな話であるのだけれど、どうしてもものぐさが先に立って楽に流れてしまうのだよなあ。この性分とこそきっちりお別れせねばと思わなくもない。
プロフィール

鵜狩

Author:鵜狩
鳴かぬなら 鳴くのにしよう 不如帰

 小説家になろうにて物語を書き撲っております。

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