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四方裏山話『病は君から』 その2

 完結した自分の長編について色々語ちゃうぜ企画第二回。
 今回はメインヒロイン、シンシア・アンデールについて。
 実は彼女はつまようじさんにイラストを描いていただいていたりしまして、目次下部最終話最下にあるのがそれで、後者に至ってはgifである。どうだ美しかろう。可愛らしかろう。
「今お前のキャラの絵を描いてやってるから伏して拝め愚民」とこれの線画を見せてもらった時には、もう「きゃあああああ!」みたいな乙女の如き(野太い)悲鳴が出たね。 
 しかしまあそれにしても、メインヒロインとかサブヒロインとかすげぇ言葉だよなと思う。「お前の人生サブだから」とか言い切られたら、ちょっと立ち直れないぜ。
 
 都市国家アンデール王家の長女。誰の手も届かない、死んだ光を放つ月。
 アンデールの血統魔法のみならず、おおよそ全ての魔法資質を身に備えた万能にして万全の人。その才は魔法についてのみに留まらず、文武両面において優れる。
 眉目も秀麗で、特に印象的なのは光の具合で淡い黄金とも輝く白銀とも見える長い髪。髪質は細やかで大変触り心地がいいらしい。 この髪の色はアンデールの血統の特徴でもあり、父や弟も揃って髪を長くしているのは、王族の血筋を顕にする為でもある。
 背丈はハギトより頭半分ほど低いが、常に凛と姿勢がいいのでそれを感じさせない。歩く時も頭の上下動が少なく、人に見られる事を前提とした体の動かし方が習い性になっている。
 食に興味が薄く、また眠りが浅い。タルマが料理をし始めたのもこれを見るに見かねてで、親友である彼女が栄養的な面倒を見なければ、とうに体を壊して倒れていた可能性すらある。
 鼓腹撃壌めいて、誰にも気づかれない努力こそを是とし、平素は気を遣って周囲の面倒ばかりを見る側。なので逆に心配されたり気遣いされたり、また努力を評価されるとすごく喜ぶ。つまるところ察しが良くて、ちゃんと「ありがとう」を言うハギトと元々相性がいい。

 物語開始時の家族構成は父と弟(母とは死別)。
 血筋による魔法の遺伝を重視するこの世界において致命的な事に子を成せない体であり、それを理由に王位継承権を持たない。……のだが、王宮引きこもりの父や弟よりも世間への露出が圧倒的に多く、結果として王族では一番人気。
 通常、世継ぎではない子供は降嫁させるのだけれども、彼女は体の事情があってそうもできない。よって異例ながら、継承権放棄を表明して若隠居という体裁を取っている。
 シンシアが資産家なのはこの時に隠居料を受け取っているからで、これがク族院を作ったり、病魔に関する噂を流布させたりする際に役立っている。
 ちなみにアンデール家は父、姉、弟。新納家は母、兄、妹と、ハギトの存在を除いたミラーとなっている。緩衝材である新納萩人が不在であれば、新納家もこんなギスギスフィーリングになっていたやもしれない。
 シンシアという名前は月の女神アルテミスの別名であるキュンティア(Cynthia)の英語読み。つまるところ月のイメージで、ハギトの金星とお揃いの「夜空で明るくて頼りになるもの」シリーズである。
 あと子供云々については「アルテミスが処女神だから」などと最もらしく嘯いてもいいのだけれど、本当を言えばこれは、ハーレム環境を構築して公募テーマに沿う為の苦肉の策だったりする。
 実は本当にハーレム構築する必要はなくて、「途中までたくさんの女の子に好かれてて、そこから一人を選ぶ展開でもよかったのだと知ったのはもう設定決めて書き出した後になってからの事であった。


 立ち位置としては、ハギトに最も影響を与える人物。
 なので手を意識した描写が多かったりする。手を差し伸べて、手を引くいてくれる人から、手を繋ぐ相手へ。先導から対等へ。そんなイメージ。7話目「I, said the sparrow」までは彼女が物語の主人公めいた立ち位置を占め、8話目「My foot」からハギトにそれがバトンタッチしていくという流れだったり。
 彼女のアクションが他衛用ブーツによる蹴り主体なのもここらが理由。あくまで手は人との関わりを示す為のものなのだ。手ずから弟の顔を斬ったのは、あれがそれだけ特例って事。
 ハギトは当初、弟の代理としか見ていなかった。
 6話目くらいからだんだんと異性として意識するようになっているのだけれど、でも自分の引け目の他に相手の立場(ハギトは自分に見放されると野垂れ死ぬので彼女の命令には従うしかない、とシンシアは考えている)があって、そんなの命令にしかならないじゃないかと自制していた。
 そうでありながら自分からタルマやスクナナを紹介しておいて仲良くするように言いつけて、それなのに実際仲良くしている様を見ると妬いてしまうのだから難儀な人である。
 微妙にダメンズ好きっぽい気配がするのは、ひょっとしたら父と弟の事が関係しているのかもしれない。
 物語終了時点での趣味は将棋と膝枕(される側)。本人も結構ダメな人であるのかもしれない。

 生来頭の回転の早い子で、物事の計算も巧み。けれど致命的な事に、その計算に自分自身を含まない。もしくは含めるとよく計算間違いをする。要するに考えだけ先行させて時々空回るタイプ。
 また物言いと仕草は意図的に芝居がかった高圧的なものを選択しており、時として冷たく感じられる場合も。同様に思考もクールで理知的理性的なようだけれど、でも本性はわりに悪戯っ子。
 彼女の悪戯は「構って欲しい」という一種の甘えであり、そんな甘えを許容してくれると心から信じられる相手にしか仕掛けない。よって主に被害を被るのはハギトとタルマである。スクナナは反応が生真面目すぎるのでちょっぴりやりにくいのだとか。
 平素、声は意識して低く出している。けれどもハギトが相手の時は少し高くて気取らない、「ちょうどいいところから出ている声」になる模様。
 基本的に眠りは浅いた性質。でも誰かさんの隣だと、或いは誰かさんが抱き枕だと、油断しきってもうぐっすりであるらしい。

 惚れた欲目てんこ盛りのハギトの主観視点から「姫様凄い、なんでもできる。女の子だけどマジヒーロー」なんて描写をされており、また実際に困っているところへ駆けつけて手を差し伸べるという圧倒的に男前かつヒーローっぽい振る舞いをする。なのでハギトがヒーローとして憧憬する兄と重ねて見られる事も多い。
 しかしながらその本質は、かなり致命的に歪んでいる。
 だって「助けて欲しい時に自分は助けてもらえなかった。だから助けるんだ」なんて言っちゃって、もうこの子、バリバリのメサコンですよメサコン。どうしようもなくメサイアコンプレックスです。「自分は人を助ける側で、だから自分は幸せに違いない」というのが基盤だったりするのです。
 娘の天稟を羨んだ父親の仕打ちと弟との断絶という、家族からの拒絶をベースに性格が形成されていて、アダルトチルドレンのタイプでいうならばロスト・ワンが一等近い。どうしようもない欠片を拾い集めて、完全無欠めいた自分を築いている。
 よって彼女は自分の存在意義を「他人に手を差し伸べる事」と定めており、タルマやスクナナのような「虐げられている人」の噂を聞き及ぶと駆けつけるのである。
 そうして彼女らを救えたのがシンシアの誇りであるのだけれど、しかしタルマは自分の影に隠れたまま、スクナナも自分の命令に絶対服従のままという現状で、自分の庇護が二人を歪めてしまったのではないかとも感じている。
 だからこそ両名を積極的にハギトと合わせ、その結果が「お前はずるい」に繋がっていくのだけれども、これは余談。
 こうして述べれは結局自分の為の行為のようなのだけれど、でもそれだけじゃなくて、本当に無私の善意で動いていたり、内心を整理して冷静になれたり、自分を客観視してバランス取れちゃったりして、だから本物のヒーロー扱いされてしまって、ますます重圧背負い込んでの悪循環を起こしているという。
 ちなみに彼女の「話に興が乗るとぐいぐい距離を詰めてくる」という悪癖は、こうした他人との距離が上手く取れないという一面の表れでもある。
 まあそんな有様だから、彼女は自身をギブスみたいなものだと考えている。
 辛くてどうしようもない時には必要だけれど、それが過ぎてしまえばただ重くて邪魔なだけ。そういうものだと思い込んでいる。自分は最終的な幸福の輪に入れない存在だと、自分で決めつけてしまっている。
「ニーズホッグ」においてロイドに「実に純朴で純真で善良でお綺麗でお上品で、そして子供だ」と評されているけども、これが彼女に対して一番正当な評価であろうと思う。いささかに潔癖すぎるよな。
 とまれハギトが柳ならシンシアは大樹。強く高く聳えるけれど、一度折れてしまったらそれきり取り返しがつかない。だからこそハギトに助けられたその時、彼女は自分の根を失って大きく揺らぐ事になる。
「特別なんかじゃない」でこの辺りのエピソードを書いた時にかなりよい反応をいただけたのは、俺としてはとても嬉しい思い出である。

 私的なイメージ曲はpillowsの「ストレンジカメレオン」。例え幻だとしても、触れ合えた手のひらはまだ温かい。
 本作はこんな、何でも持っているように見えて何にも持っていない彼女が、心の底から欲しいと思ったものをやっと手に入れる物語でもありました。
 まだお互いおっかなびっくりでぎこちないけれど、そのうちきっと、とてもしっくり来る二人になっていくだろう事と思います。
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鵜狩

Author:鵜狩
鳴かぬなら 鳴くのにしよう 不如帰

 小説家になろうにて物語を書き撲っております。

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