竜の日

 4/23は聖ジョージの日で、だからドラゴンの日でもあるらしい。そんな「桃太郎の日だからついでに鬼の日」みたいな扱いでいいのかドラゴン。
 でもそんな具合に取り沙汰されているのを眺めて、ふと思った。
 私的には「ファンタジー=ドラゴン」みたいなイメージがあるけれども、そいつはどこから来たものであろうか。
 ちなみにドラゴンって書くと俺の中では怪鳥音を発するかっけー存在のイメージばかり強いので、以下は竜表記で統一する。

 まず思い当たるのは『エルマーとりゅう』。
 知恵のある少年エルマーがどうぶつ島に捕まっているりゅうを助けに行く冒険譚。リュックサックの中のアイテムという限られたリソースを、発想の閃きを活かして状況打開の切り札に変える様は心地よかった。あとももいろのぼうつきキャンデーが食べたかった。

 次のインパクトとしては『朝びらき丸東の海へ』か。
「ナルニア国ものがたり」シリーズの三巻目。作中でユースチスが竜になるくだりが怖くてねぇ。
 詳しい文章は覚えてないし、本も実家なので確認はできないのだけれど、「竜と同じ心を抱えて竜の財宝の上で眠った者は竜になるのだ」みたいな感じ。
 こういうふうに生まれる竜もあるのだな、と幼心に強く思った。

 幼心と言えば『ネバーエンディングストーリー』も外せない。
 あれの映画版のファルコンな。めっちゃ親しみやすいふかふかの竜。あれもひとつのイメージ革新であったなあ。
 まあミヒャエル・エンデは「もっと神秘的で強い感じの竜がよかった!」って怒ったそうだけれど。というか映画自体が大分アレでアレだったそうであるけれども。

 決して映像化がアレだった繋がりではないのだけれど、竜というもののイメージで俺内部に根強いのは『ゲド戦記』であろう。
 力が強いだけの獣ではなく、人を見下すばかりの超越者やら管理者でもなく、尊敬すべき種としての先輩みたいな印象。
 人と竜、両者の間にちゃんと線引きはあるのだけれども、それは決して越えられない壁ではない。上手く表現できなのだが、なんともしっくりくる関係性であるのだ。
 竜語を解し、また竜から話すに足ると認められた人間を竜王と呼ぶのだけれど、その竜王の中でも最も竜に親しかったエレス・アクベについて、ゲドは語る。
「竜たちは彼の事を今でも覚えていてね。まるで竜であったかのように、彼の事を話すんだ」
 またしてもうろ覚えの正確でない引用であるけれど、不思議なくらい心に響く紹介だった。
 かつて、竜と人は同じものだったのだ。
「わがはらからは踊っているよ/もひとつほかの風に乗って」。

 と、まあ唐突に顧みてみるたら、俺のイメージの根っこには子供の頃の読書経験がどっかり横たわっているのを改めて感じた。
 人間の主観やら世界観やらなんて所詮簡単に変わるものだし、今後も良い本に出会っていきたいものだと思う。

ノーカラテ、ノーニンジャ

 近所の駅の近くに、空手のジムがある。
 駅からも入門生の募集の告知が見えるような立地で、そこにそういう施設があるのは俺も知っていた。だが先日、その駅で待ち合わせをした際、友人に袖を引かれた。
「お前、あの空手教室の秘密を知っているか」と。
 そうして連れて行かれたのはその建物の裏側、駅からは見えないダークサイドオブザムーンである。
 そちら側から見上げた当該の階の窓には、「忍者募集中」の張り紙がなされていた。
 カラテ。そしてニンジャ。
 このふたつの単語から導き出される答えはひとつ、ただひとつだけだ。
 我々は何も見ない素振りでその場を去った。

はぐれ虫

 テーブルの上をてんとう虫が這っていた。
 黒を基調にオレンジの模様をしたヤツである。具体的な名前は知らぬ。
 こんな時期に活動しているのだなあ、と思った。確かこいつらは葉っぱの裏とか石の下とかに、集団でまとまって越冬するのではなかったか。
 はぐれものがどこからともなく入り込んできたものであろうか。
 普通なら摘んで外に放り出すところであるが、流石に今日それをしたら死ぬだろう。
 なんとなく後生が悪いので、うっかり潰さぬように場所を移して、そのまま這うに任せている。

指し示すもの

 久々に友人とカラオケに行った。掴みの最近の曲ラッシュから次第に懐旧ソングへと選曲は変遷し、やがて懐かしのグループを発掘されると皆がしばらくその曲歌い続けるような雰囲気に。
 そしてそんな流れで投入されたのがSIAM SHADである。
 直後のツッコミはが「1/3しか知らねぇよ!」だった。
 これがSIAM SHADEの全楽曲中の3分の1を意味するのか、はたまた(『1/3の純情な感情』だけを指し示すのかによって、音楽的知識の評価がわかれる発言であろう。

キレやすい

 年末を前に米の貯蔵が尽きかけたので、ちょっくら行って10kgのを購入してきた。そいつをトートバックにぶち込んだ帰途、バッグの持ち手が切れた。音を立ててぶちりと切れた。
 見れば二箇所の持ち手の四つある支点的縫い目のうち、左右それぞれ二つがダメになっている。つまり持ち手部分はどちらも弧を描かずに、だらりと垂れた直線の紐と化している。
 マジかよと残った部分同士を結び合わせて担ぎ直し、それからしばし行ったところで、またぶちり。
 俺の掌中にはかつて持ち手だった二本の紐ばかりが残り、米は路上に転がった。
 なんという切れやすさ。
 お前は現代の若者か。もしくはテリーマンの靴紐か。
プロフィール

鵜狩

Author:鵜狩
鳴かぬなら 鳴くのにしよう 不如帰

 小説家になろうにて物語を書き撲っております。

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